朝起きた瞬間から頭痛がする原因:睡眠中の首の負担
起きた瞬間からズキズキする、頭が重い。こうした朝の頭痛は、睡眠中に首や顎周りが緊張し続け、起床時の姿勢変化や血流の変化により痛みが顕在化することがあります。特に、枕による頸椎圧迫、睡眠時ブラキシズム(歯ぎしり・食いしばり)、交感神経優位の持続が、朝の頭痛の主な原因です。

朝の頭痛を引き起こす3つのメカニズム
仰向けで寝るとき、枕が首の付け根(環椎後頭関節周辺)を強く圧迫すると、後頭下筋群や頭半棘筋が持続的に緊張します。起床時に体を起こすと、血流が再開し、虚血性の痛み(筋肉への血流不足による痛み)や、筋肉の緊張による締め付け感が頭痛として現れます。
ストレスや自律神経の乱れにより、睡眠中に無意識に歯ぎしりや食いしばりが起こることがあります。これにより、咬筋や側頭筋が過緊張し、側頭部やこめかみの頭痛を引き起こします。また、顎関節症状(顎の痛みや開口制限)を伴うこともあります。
日中のストレスや緊張が解消されないまま就寝すると、睡眠中も交感神経が優位な状態が続きます。この状態では筋肉の緊張が持続し、首・肩・後頭部の筋肉が休まらず、朝に頭痛として現れます。
仰向け寝での頸椎圧迫:「首の付け根」が押されやすい人は要注意
仰向けで寝たとき、枕が首の付け根(C1-C2レベル)を強く押すと、以下のような問題が生じます:
- 頸椎の過屈曲:首が前に押され、後頭下筋群が伸張ストレスを受ける
- 血流障害:圧迫により椎骨動脈の血流が阻害され、頭部への血液供給が低下
- 神経圧迫:大後頭神経や小後頭神経が圧迫され、後頭部の痛みが生じる
朝の頭痛の特徴:
- 朝だけ痛く、起きてしばらくすると(30分〜1時間で)落ち着く
- 後頭部から首筋にかけて重さや締め付け感がある
- 首を動かすと痛みが増す、または首の可動域が制限される
- 枕を変えると朝の頭痛の程度が変わる
枕の選び方:「高さ」より「首が休めているか」が重要
枕選びで重要なのは、単純な「高さ」ではなく、頸椎のニュートラルポジション(自然なS字カーブ)を保てるかです。理想的な枕は以下の条件を満たします:
- 頸椎のサポート:首のカーブ(頸椎前弯)を自然に保てる形状
- 適度な柔軟性:後頭部が沈み込みすぎず、圧迫されすぎない硬さ
- 寝返りのしやすさ:横向きになったときも首が水平に保たれる
- 高さの調整性:個人の体格に合わせて微調整できる
枕の高さによる問題:
- 高すぎる枕:首が前屈し、後頭下筋群が伸張される。頸椎椎間板への圧迫も増加
- 低すぎる枕:顎が上がり、頸椎が過伸展。咽頭や気道が圧迫され、いびきや睡眠時無呼吸のリスクも
- 硬すぎる枕:後頭部だけに圧力が集中し、後頭下筋群が虚血状態になりやすい
当院では、枕の”正解”を一律に決めるのではなく、「朝いちばんつらいか」「首が休めている感覚があるか」「寝返りが打てているか」を基準に、個々の状態に合わせてアドバイスしています。
睡眠時ブラキシズム:寝ているのに体は緊張したまま
睡眠時ブラキシズム(歯ぎしり・食いしばり)は、以下のような影響を及ぼします:
- 咬筋・側頭筋の過緊張:側頭部、こめかみの頭痛
- 顎関節への負担:顎の痛み、開口制限、カクカク音
- 頸部筋群への連鎖:咬筋の緊張が胸鎖乳突筋や僧帽筋に波及し、首こり・肩こりが悪化
ストレスや自律神経の乱れが主な原因であるため、日中のストレス管理や、就寝前のリラックスタイムが予防につながります。
関連:緊張型頭痛/ 肩こり・首こりのセルフケア/ 自律神経と頭痛
起床時1分リセット:首を回す前の準備
呼吸と肩甲帯の動きで、首の緊張をほどいてから動かします。
深く吐く呼吸で副交感神経を優位にする

【方法】
ベッドの中で、鼻から4秒かけて軽く吸い、口をすぼめて6〜8秒かけて細く長く吐きます。この呼吸を2〜3回繰り返します。
【ポイント】
吐く息を長くすることで、迷走神経が刺激され副交感神経が優位になります。これにより、睡眠中の交感神経優位状態から切り替わり、首や顎の筋緊張が自然とゆるみやすくなります。起き上がる前に、まず呼吸でリセットしましょう。
肩甲骨を開閉して胸郭を動かす

【方法】
座位または立位で、両腕を前に伸ばして背中を軽く丸めます(肩甲骨を開く)。次に、胸をふわっと開いて肩甲骨を寄せます(肩甲骨を閉じる)。呼吸に合わせて、3〜5回ゆっくり繰り返します。
【ポイント】
首は動かさず、肩甲帯と胸郭の動きで上半身の緊張をほどきます。肩甲骨周りの筋肉(菱形筋、僧帽筋中部・下部)が動くことで、首への負担が軽減され、血流も改善します。首を直接動かす前に、土台となる肩甲帯をほぐすことが重要です。
首を回す前に、まず温めて休ませる

【方法】
ホットタオル(電子レンジで30秒温める)または温かい手のひらで、首の後ろ(後頭部の下から首の付け根)を30秒〜1分包み込むように温めます。
【ポイント】
朝の首が固い状態で無理に回すと、筋肉や関節に負担がかかります。温めることで血流が改善し、筋肉の緊張がゆるみ、その後の動きがスムーズになります。温感受容器が刺激されることで、痛みの感覚も軽減されやすくなります。
毎朝、起床後すぐに実施します。特に、朝の頭痛が強い日や、首が固いと感じる日は、ステップ③の温めを長め(1〜2分)に行うと効果的です。
当院での施術アプローチ
当院では、朝の頭痛が続く方に対して、首の付け根(環椎後頭関節)の可動性、顎周りの筋緊張、肩甲帯のバランス、呼吸パターンを総合的に評価します。
施術では、後頭下筋群や頭半棘筋への筋膜リリース、環椎後頭関節のモビライゼーション、咬筋・側頭筋のリリース、横隔膜の緊張緩和などを行い、「睡眠中も緊張しにくい体」「朝すっきり起きられる体」へと導きます。朝の頭痛が続く方ほど、睡眠中の緊張パターンをリセットすることが重要です。
関連ページ:
頭痛(総合)/ 緊張型頭痛/ 自律神経と頭痛/ 肩こり・首こりのセルフケア
朝の頭痛が続く方は、まず今の体の状態を一緒に整理しましょう。枕の相談や、睡眠中の緊張パターンについてもアドバイスいたします。