寝返りが少ないと頭痛が起きる理由:同一姿勢による筋緊張と循環障害
睡眠の質は時間だけでなく、睡眠中に体がどれだけゆるめるかにも左右されます。寝返りが少なく同じ姿勢が続くと、頸部筋群が持続的に緊張し、血流障害により朝の「目の重さ」「頭の重さ」「頭痛」につながることがあります。
※ここでは医療的診断ではなく、日常で起こりやすい体の流れとして整理しています。気になる症状がある場合は、医療機関での評価をおすすめします。

寝返りの生理学的役割
健康な成人は一晩に20〜30回程度の寝返りを打つとされています。寝返りには以下の重要な役割があります:
- 圧力分散:同じ部位への持続的圧迫を避け、褥瘡(床ずれ)を予防
- 血流維持:圧迫による血流障害を防ぎ、組織への酸素・栄養供給を保つ
- 筋緊張の解放:同一姿勢での筋肉の持続的収縮を解除し、疲労回復を促進
- 体温調節:体位変換により体表面の温度を調整
寝返りが少ないと体に起こること
寝返りが減少すると、以下のような連鎖が起こります:
- ① 同一姿勢の持続 → 頸部・後頭部への圧迫が続く
- ② 筋肉の持続的緊張 → 後頭下筋群、僧帽筋上部、肩甲挙筋が虚血状態に
- ③ 血流障害 → 頸部の血流低下により、老廃物(乳酸など)が蓄積
- ④ 酸素不足と炎症 → 筋肉への酸素供給不足で、痛み物質(ブラジキニン、サブスタンスP)が産生
- ⑤ 朝の頭痛・重さ → 起床時の姿勢変化で血流が再開し、虚血再灌流による痛みが顕在化
血流が遮断された組織に血流が再開すると、一時的に活性酸素が大量に発生し、炎症反応が起こります。これが「虚血再灌流障害」で、朝起きた瞬間の頭痛の一因となります。
寝返りが減る4つの主な原因
枕が高すぎる、低すぎる、または硬すぎると、頸椎のニュートラルポジションが保てず、寝返りが打ちにくくなります。マットレスが柔らかすぎると体が沈み込み、寝返りに必要な力が大きくなります。
室温が低い、または首肩が冷えると、体温を保つために筋肉が持続的に収縮します(シバリング=震え産熱の前段階)。この状態では筋肉が固まり、寝返りが減少します。
デスクワークや家事で肩・背中が張った状態が続くと、筋肉の柔軟性が低下し、寝返りに必要な可動域が制限されます。特に肩甲帯の可動性低下は寝返りを妨げます。
ストレスや緊張が解消されないまま就寝すると、交感神経が優位な状態が続き、呼吸が浅く、筋肉の緊張が持続します。この状態では深い睡眠に入りにくく、寝返りも減少します。
朝の頭痛・重さの特徴
- 起床時に後頭部から首筋にかけて重さや痛みがある
- 目の奥が重い、または目が開けにくい
- 首を動かすと痛みが増す、または可動域が制限される
- 起きてから30分〜1時間経つと徐々に楽になる
- 「寝たのにスッキリしない」という疲労感が残る
関連ページ: 症状から探す / 頭痛(総合) / 緊張型頭痛 / 自律神経と頭痛
睡眠前の準備で回復モードに入る4ステップ
体が回復に入れる環境と状態を整えます。
首の後ろを冷やさない環境を作る

【方法】
室温を18〜22℃程度に保ち、首から肩にかけてタオルケットや毛布をかけるなど、寝具で首肩が冷えないようにします。エアコンの風が直接首に当たらないよう、風向きを調整します。
【ポイント】
首の後ろ(後頭下筋群のある部位)が冷えると、防衛反応として筋肉が持続的に収縮し、血流が低下します。これにより筋肉が固まり、寝返りが打ちにくくなるだけでなく、翌朝の頭痛リスクも高まります。首を温かく保つことで、筋肉がリラックスしやすくなります。
吐く息を長くして副交感神経を優位にする

【方法】
ベッドに入る前、または入った後に、鼻から4秒かけて吸い、口または鼻から6〜8秒かけて細く長く吐きます。この呼吸を6回繰り返します。
【ポイント】
就寝前に呼吸が浅いと、交感神経が優位なまま「活動モード」が続き、筋肉の緊張が解けません。吐く息を長くすることで迷走神経が刺激され、副交感神経が優位になります。これにより心拍数が低下し、胸や腹部の筋緊張がゆるみ、深い呼吸がしやすくなり、睡眠の質が向上します。
背中を軽く丸めて首の緊張を解放する

【方法】
座位または立位で、背中を軽く丸めて肩を前に出し、肩甲骨の間(背中の中央)が伸びるのを感じます。この姿勢で10〜15秒キープし、ゆっくり戻します。2〜3回繰り返します。
【ポイント】
背中(特に胸椎周辺)が固いと、首の筋肉が引っ張られて緊張が抜けにくくなります。背中をゆるめることで、首への牽引ストレスが減り、後頭下筋群や僧帽筋上部の緊張が解放されやすくなります。首だけをケアするより、土台となる背中・肩甲帯から整えることが効果的です。
部屋の明かりを落として視覚刺激を減らす

【方法】
就寝30分〜1時間前から、部屋の照明を間接照明やスタンドライトに切り替え、明るさを落とします。その後、目を閉じて30秒〜1分安静にします。
【ポイント】
目を閉じても、周囲の明るさが強いと網膜の光受容体(特に青色光に敏感なメラノプシン含有細胞)が刺激され続け、メラトニンの分泌が抑制されます。暗い環境に移行することで、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が促進され、「回復モード」へのスイッチが入りやすくなります。視覚刺激を減らすことで、脳の覚醒レベルも低下します。
就寝30分〜1時間前に、①→②→③→④の順で実施します。毎晩続けることで、体が「この時間は休む時間」と学習し、自然と副交感神経への切り替えがスムーズになります。
関連セルフケア: セルフケア総合 / 肩こり・首こりのセルフケア / 自律神経のセルフケア
当院での施術アプローチ
当院では、朝の頭痛や疲労感が続く方に対して、後頭部から首筋の筋緊張パターン、肩甲帯の可動性、呼吸パターン、自律神経のバランスを総合的に評価します。
施術では、後頭下筋群や僧帽筋への筋膜リリース、肩甲帯のモビライゼーション、横隔膜の緊張緩和、呼吸エクササイズなどを行い、「睡眠中も回復しやすい体」「朝すっきり起きられる体」へと導きます。寝返りが少ない方ほど、日中の筋緊張パターンと睡眠環境の両方を整えることが重要です。
関連ページ:
頭痛(総合) / 緊張型頭痛 / 自律神経と頭痛 / ご予約・お問い合わせ
朝の重さが続く方は、「目だけ」「首だけ」ではなく、睡眠環境と日中の体の使い方を含めて、順番を組み立てて整えます。まずは今日ご紹介した4ステップを、今夜から試してみてください。
予約・お問い合わせへ