冷えと血流低下による冬の緊張型頭痛

冬に緊張型頭痛が増える理由:冷えによる血管収縮と筋緊張

冬は寒冷刺激により血管が収縮し、筋肉が持続的に緊張しやすい季節です。特に首・肩・背中が冷えると、末梢血管の収縮筋肉の等尺性収縮により血流が低下し、乳酸などの代謝産物が蓄積して虚血性疼痛(血流不足による痛み)が起こります。この循環障害が、頭を締めつけるような緊張型頭痛の主な原因です。

この記事のポイント: 冬の頭痛は、寒冷刺激による交感神経優位、末梢血管収縮、筋肉の持続的緊張が複合的に作用して起こります。首・肩・背中を温め、呼吸を整えることで、血流と自律神経のバランスを回復させることが重要です。

冬の頭痛を引き起こす3つのメカニズム

① 寒冷刺激による血管収縮
寒さに晒されると、体温を維持するために交感神経が活性化し、末梢血管(特に皮膚の細動脈)が収縮します。これにより、頸部・肩部への血流が減少し、筋肉への酸素と栄養の供給が低下します。血流低下により、乳酸やブラジキニンなどの発痛物質が蓄積し、痛みを引き起こします。
② 筋肉の持続的緊張(等尺性収縮)
寒さで体が縮こまると、僧帽筋、肩甲挙筋、後頭下筋群などが持続的に収縮します(等尺性収縮=筋肉の長さを変えずに力を入れ続ける状態)。この状態では筋肉内の血管が圧迫され、血流がさらに悪化します(虚血状態)。虚血により、筋肉内のATP(エネルギー)が枯渇し、痛み受容器(侵害受容器)が刺激されます。
③ 呼吸の浅化と脳への酸素供給低下
寒さや緊張により呼吸が浅くなると、1回換気量が減少し、脳への酸素供給が不十分になります。脳は酸素消費量が多い(全身の約20%)ため、わずかな酸素不足でも頭痛、集中力低下、頭が重くぼんやりする感覚が生じます。また、浅い呼吸が続くと呼吸性アルカローシス(血液のpH上昇)が起こり、脳血管が収縮して頭痛を悪化させることもあります。

冬の頭痛が起こりやすい状況

  • 外出時や室内の温度差(10℃以上)による急激な冷却
  • 首・肩・背中が露出した状態での長時間作業
  • 寒さによる無意識の肩の力み(肩をすくめる姿勢)
  • 厚着による可動域制限と筋肉の固定
  • 室内の乾燥と水分不足による血液粘度の上昇

冷やさない工夫と生活のポイント

温める重点部位:首・肩・背中
  • 首の後ろ(頸部):太い血管(頸動脈、椎骨動脈)が通るため、ここを温めると全身の血流が改善しやすい
  • 肩・肩甲骨周り:僧帽筋や肩甲挙筋の緊張をゆるめ、頭部への血流を確保
  • 背中(胸椎周辺):自律神経の中枢である交感神経幹が走行。温めることで副交感神経への切り替えを促進
  • 外出時:マフラーやストールで首・肩・背中を軽く覆う。厚着より首を守ることが優先
  • 衣服の選び方:厚着しすぎると動きが制限され筋肉が固まる。動ける軽さを重視し、インナーで温度調整
  • 就寝前:首の付け根に蒸しタオル(40℃前後)を5〜10分。温感受容器が刺激され、副交感神経が優位になり入眠しやすくなる
  • 朝の習慣:起床後、肩を前後に各10回ゆっくり回す。睡眠中に固まった筋肉をほぐし、血流を促進
首や肩を冷やさないようにするイラスト|女性専門 頭痛整体 Heart+小田原院
寒さ対策は「首・肩・背中」を重点的に温める
セルフケア

1日3分でできる冷え対策リセット

温め・呼吸・動きで血流と自律神経を整えます。

① 首の後ろを適温で温めて血流を改善

【方法】
蒸しタオル(電子レンジで30秒温める)を軽く絞り、首の付け根から肩にかけて5〜10分乗せます。温度は40℃前後(手で触って「じんわり温かい」程度)が目安です。

【ポイント】
首の後ろには頸動脈と椎骨動脈が走行しており、ここを温めると脳への血流が改善します。また、温感受容器が刺激されると副交感神経が優位になり、筋肉の緊張がゆるみます。温めすぎ(45℃以上)は逆効果なので、「じんわり」を意識しましょう。

首の後ろをぬるめに温めて血流を促すセルフケアのイラスト|女性専門 頭痛整体 Heart+小田原院
首の付け根〜肩を「じんわり」温める

② 吐く息を長くして副交感神経を優位にする

【方法】
鼻から4秒かけて吸い、口または鼻から6〜8秒かけてゆっくり吐きます。この呼吸を6回繰り返します。肩の力を抜いて、リラックスした姿勢で行いましょう。

【ポイント】
吐く息を長くすることで迷走神経が刺激され、副交感神経が優位になります。これにより心拍数が低下し、血管が拡張して全身の血流が改善します。また、深い呼吸により横隔膜が大きく動き、胸郭の可動性が回復します。寒さで浅くなった呼吸をリセットすることで、脳への酸素供給も増加します。

吐く息を長めにして呼吸を整え、胸とお腹の力みをほどくイラスト|女性専門 頭痛整体 Heart+小田原院
吐く息を長めにして、力みをほどく

③ 肩甲骨を大きく回して筋肉の緊張を解放

【方法】
両腕を肩の高さに上げ、前回し・後ろ回しを各10回ゆっくり行います。呼吸を止めずに、息を吐きながら回すのがポイントです。

【ポイント】
肩甲骨を動かすことで、僧帽筋、菱形筋、肩甲挙筋などの緊張がほぐれます。寒さで固まった筋肉は等尺性収縮(動かずに力が入った状態)により血流が低下しているため、動的な運動で筋ポンプ作用を活性化させることが重要です。筋肉が収縮・弛緩を繰り返すことで、静脈血やリンパ液が心臓に戻り、新鮮な酸素を含んだ血液が供給されます。

肩甲骨を大きく回すセルフケア(肩を前回し・後ろ回しをゆっくり10回)のイラスト|女性専門 頭痛整体 Heart+小田原院
呼吸に合わせて、ゆっくり大きく回す
セルフケアの実施タイミング
朝:起床後、体が冷えて固まっている状態で③を実施
日中:デスクワークや外出後、冷えを感じたら①と②を実施
夜:就寝前に①→②→③の順で全て実施すると、睡眠の質が向上します

当院での施術アプローチ

当院では、冬の頭痛が続く方に対して、肩甲帯の可動性背部筋群の緊張呼吸パターン自律神経のバランスを総合的に評価します。

施術では、背中と肩甲骨の動きを取り戻し、浅くなった呼吸を整えます。筋膜リリース、関節モビライゼーション、呼吸エクササイズを組み合わせ、「体が内側から温まる」「血流と神経のバランスが安定する」状態へと導きます。寒い日でも頭痛が起こりにくい、冷えに強い体を目指します。

「ストレス × 自律神経 × 頭痛」シリーズをまとめて読む

日曜シリーズでは、緊張・力み・生活リズムの乱れが頭痛や不調にどうつながるのかを、医学的根拠に基づいて解説しています。

「原因がはっきりしない」「検査では異常がない」そんな頭痛ほど、体の使い方・休ませ方がヒントになることがあります。

※シリーズは「全部読む」前提ではありません。
今の症状に近いテーマから読むと、理解が深まり実践にもつながりやすくなります。

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